不動産を寄付する遺言(遺言文例40)
遺言書
第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産全部を福岡県久留米市に遺贈する。なお、久留米市は、当該建物を地域の集会所などの施設として活用してください。
第2条 第1条記載の不動産を除く遺言者の有する預貯金その他一切の財産を、姪田中奈緒(亡姉田中幸恵の長女)に代襲相続させる。なお当該預貯金から、不動産の所有権移転費用、遺言執行費用、未払医療費、葬儀費用、家財道具などの処分費用、公租公課その他の債務を優先的に控除すべきものとする。
第3条 祭祀主宰者として、前条記載の田中奈緒を指定する。葬儀については、質素に執り行ってください。
第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として下記の者を指定する。
記
福岡県久留米市六ツ門町1番地1
行政書士 古賀 省吾
昭和44年2月26日生
3 遺言執行者は、遺言者の有する不動産全部の久留米市名義への所有権移転登記とその前提としての相続登記において、相続人の代理人として申請手続ができるものとする。
2 遺言執行者は、相続財産に含まれる預貯金債権の解約、払戻し、動産の処分等のほか、この遺言を執行する上での一切の権限を有する。
4 遺言執行者に対する報酬は、金100万円とする。
付言 私は夫を早くに亡くし、子供もいません。久留米市で生まれ育ちました。仕事も久留米市役所に定年まで勤めさせて頂きました。これまで何とか生きて来れたのも久留米市と地域の皆様のおかげだと感謝しています。そこで、以上のような遺言の内容としました。私の最後の願いを叶えて頂けるのなら、ありがたいことだと思っています。姪の奈緒ちゃんには最後まで迷惑をかけますが、よろしくお願いします。行政書士の古賀先生、お世話になります。
平成27年4月30日
住所 福岡県久留米市小頭町1番地10
遺言者 田中 一郎 印
不動産だけを寄付をする場合に使う文例です。遺言執行者の指定が必要です。相続開始(遺言者の死亡)後、遺言執行者が中心となって手続をすることになります。ただ、不動産の受贈者(もらう人)が遺贈の放棄(寄付の受取拒否)をした場合は、法定相続人による遺産分割の対象となります。寄付は不動産より現金(預貯金)が喜ばれがちのようです。
上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。