別居中の妻にはやらない遺言(遺言文例 97)

遺言書

第1条 遺言者の有する不動産全部は、次女佐藤愛子(昭和60年6月6日生)に相続させる。

第2条 第1条記載の不動産を除く遺言者の有する一切の財産は、長女田中幸子(昭和58年8月8日生)と次女佐藤愛子にそれぞれ2分の1の割合にて相続させる。

第3条 遺言者は、別居中の遺言者の妻佐藤ひかり(昭和37年9月9日生)を廃除する。

第4条 第2条に関する遺言執行者として、次女佐藤愛子を指定する。
 2 第3条に関する遺言執行者として、弁護士田中一郎(事務所:久留米市篠山町1番地1)を指定する。
 3 前項に関する遺言執行報酬は金80万円とする。これは、着手金と成功報酬金を含むものである。また、相続開始時に既に離婚が成立していた場合は、第3条の遺言執行は必要ないものである。

付言 妻のひかりは、平成15年3月、勝手に家を飛び出し、職場の若い男と駆け落ちした。その後、まったく連絡がなかったにも拘らず、今年突然3月帰ってきた次第である。恐らく、生活が苦しくなったからであろう。口先だけの反省は聞きたくもない。現在、弁護士の田中先生にお願いして、離婚裁判中である。しかし、私も病気でそう長くないかも知れない。万が一、離婚成立の前に私が死んだら、ひかりに半分財産が行くなどとは耐えられない。よって、このような遺言を残した。娘たち二人もきっと理解してくれると思っている。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  佐藤 太郎 


※補足説明 関連遺言 関連遺言

 遺言がなければ、妻の法定相続分は子供と同じく半分です。もし、妻と別居中であったり、離婚裁判中なら、万が一の場合を考えて、遺言は作っておくべきでしょう。また、廃除の場合は、廃除を証明する資料を用意しておくことと、遺言でもって相続分がないようにしておくべきです。何故なら、廃除が必ず認められるとは限らないからです。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。