未成年者の遺言(遺言文例 94)
遺言書
第1条 遺言者は、遺言者の有する預金その他一切の財産を、妹田中結衣(平成11年7月8日生)に包括して遺贈する。
第2条 遺言執行者として、遺言者の父田中一郎(昭和44年4月4日生)を指定する。
「付言」僕はもうすぐ19歳になります。憧れていた東京の大学に入学して、初めての夏休みです。しかし今回、血液の悪い病気にかかっていることが判明し、余命1年足らずと言われました。僕自身、この現実を受け入れることがまだできません。ドラマの世界みたいです。これから苦しい闘病生活が待っているのかも知れません。もし本当に余命1年なら、病院の中より家族や友達と過ごしたいです。また、私ができなかったことは妹に頼みたいと考えています。私には、亡くなった祖父から学費として貰った預金が少しあります。この預金は、妹の大学の入学金や学費に使ってもらいたいです。そこで、未成年者でも遺言ができるとネット上に書いてあったので、これを書き残すことにしました。お父さん、お母さん、そして妹の結衣、今までありがとう。僕の分まで生きてください。僕はこれまで本当に幸せでした。
平成26年7月17日
住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者 田中 太郎 印
※補足説明 関連遺言
未成年者でも、15歳になれば遺言ができます。法定代理人(親や未成年後見人)の同意は必要ありません。ただ、一般的には、相続財産がなければあまり遺言をする意味がありません。「遺書」とはまったく違うからです。
上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。