裾分け遺贈を含む遺言(遺言文例 91)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産全部を、受遺者中村真央(久留米市野中町9番地9、昭和45年5月5日生)に包括して遺贈する。

第2条 受遺者は、この遺贈の負担として、老人ホームに入所している遺言者の妻佐藤幸子(昭和15年5月5日生)に月2回以上面会し、第1条記載の不動産の家賃収入の3分の1を生活費として毎月渡すものとする。

第3条 遺言者の有する不動産を除くその他一切の財産を妻佐藤幸子に相続させる。

第4条 第1条記載の遺贈が放棄された場合は、遺言者の有する不動産全部は、妻佐藤幸子に相続させる。

第5条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、受遺者中村真央を指定する。

第6条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
 福岡県久留米市中央町38番地23
 行政書士  宮崎 信幸(昭和33年3月3日生)
 2 遺言執行者に対する報酬は、金30万円とする。執行報酬については、遺言者の有する預貯金から優先的に支出するものとする。

付言 私にはもう兄弟姉妹はいません。甥や姪はいますが疎遠です。そこで、これまでいろいろとお世話になった中村真央さんに妻のことと私が死んだ後のことを頼むことにしました。妻が恐らく、私より長生きすると思います。私が死んだ後の妻のことだけが気掛かりです。真央さんと宮崎先生にはご面倒をお掛けしますがよろしくお願いします。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  佐藤 太郎 


※補足説明 関連遺言

 裾分け遺贈(負担付遺贈の一種)を含む遺言です。裾分け(負担)が大きすぎると遺贈の放棄をされることがあります。よって、事前に受遺者に確認して了解を得ておくことが必要でしょう。念のため、遺贈の放棄の場合の予備的遺言も必要でしょう。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。