親の面倒をみる長男への遺言(遺言文例 84)
遺言書
第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産その他一切の財産を長男中村一郎(昭和47年4月4日生)に相続させる。
第2条 長男中村一郎は、第1条記載の財産を受ける負担として、遺言者の妻中村ひとみを、終生遺言者の自宅に無償で住まわせ、世話をすること。
第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男中村一郎を指定する。
第4条 長女田中幸子(昭和45年3月3日生)については、同人が福岡市中央区天神3丁目のマンションを購入する際、金1500万円を資金援助しているので、相続分はないものとする。
第5条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、長男中村一郎を指定する。
2 遺言執行者は、遺言者が借用中の貸金庫の開庫、貸金庫契約の解約、内容物の受領、預貯金債権その他の金融資産の名義変更、払戻し、解約等のほか、医療費、公租公課その他の債務の支払い、生命保険の請求手続、年金関係の各種届出に関する事務処理のための経費等を支払うことなど、本遺言執行に必要な一切の行為をする権限を有する。
3 遺言執行者は、必要と認めるとき第三者にその事務を委任することができる。
「付言」妻ひとみのことは、一郎に頼むことにしました。一郎の妻である祐子さんにも迷惑をかけますが、よろしくお願いします。そして、幸子には生前贈与をしているので、これで辛抱してください。盆や正月には実家に帰って来て、お母さん孝行をしてやってください。
平成27年5月7日
住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者 佐藤 太郎 印
※補足説明 関連遺言
長男夫婦が親と同居している場合の遺言です。親、子、孫と3世代が同居する家族は以前より少なくなっているようですが、まだまだ地方では多いようです。
上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。