全ての遺言を取り消す遺言(遺言文例 66)
遺言書
第1条 遺言者は、これまでの遺言を全て撤回する。
第2条 遺言者は、これまでに子供たちにした生前贈与による特別受益の持ち戻しについて全て免除する。
付言 私はこれまで、3通遺言書を作成しました。それぞれの遺言は、子供達三人にそれぞれ良かろうと思って作ったものです。でも、ある一人の子供にとって良いということは、他の子供達にとっては都合が悪い、不満だということになりがちです。そこで、私が亡くなった後の事は、子供達三人で相談して決めてもらうのが一番良いと思うようになりました。親として、無責任だという考え方もあるかも知れませんが、私の子供なら、ちゃんと話し合いができるはずです。そう信じていますし、そうできるように育てたつもりです。三人それぞれ、言いたいことはあるかも知れません。分け隔てなく平等に育てたつもりですが、心の中で思っていることは多少異なることもあるでしょう。ただ、細かい不平、不満を言ったら切りがありません。残った財産について、三人だけで遺産分割協議をしてお互いに納得して分けてください。また、私は妻(あなた方の母親)が亡くなった後、一郎の家族と同居することになりました。一郎は、長男だからとか、同居していたからとか、世話をしたなどとは言わぬようにしてください。私の葬式代は3等分したとしても、今後の先祖の供養をする者には多めにしておくべきだという気がします。これらの私の気持ちを理解して、兄弟仲よく暮らすよう希望します。これが私からの最後のお願いです。
平成27年5月7日
住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者 佐藤 太郎 印
※補足説明 関連遺言
前の遺言を取り消す(法律用語では「撤回する」)場合に使う遺言です。ただ単に取り消すだけではなく、相続人が遺産分割がしやすいように、アドバイスも必要でしょう。
上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。