農業経営者(農家)の遺言(遺言文例 52)
遺言書
第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産その他一切の財産を次男宮崎隆(昭和40年4月4日生)に相続させる。
第2条 第1条による相続の負担として、遺言者名義の久留米市農協からの借入金は全て次男隆が相続すべきものとする。
第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、次男宮崎隆を指定する。
第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次男宮崎隆を指定する。
付言 私は農家の長男として生まれ、農業高校卒業後、農業の手伝いを始めました。その後、あなた達のお母さんと結婚し、地域でも有数の梨園農家にすることができました。ここまでなれたのは、お母さんと隆が手伝ってくれたお蔭だと感謝しています。今後も隆には奥さんのひとみさんと共に梨園を守ってもらいたいと思っています。そこで以上のような遺言内容にしました。長男一郎は、東京の大学まで行き、国家公務員をしているので私達夫婦の自慢でもあります。また、長女ひとみは、結婚後も小学校の教員をしているので今後の生活のことはあまり心配していません。二人も承知していると思うが、農業は天候に左右され、不安定な経営になりがちです。隆が途中で農業を断念することのないよう、見守ってくれることを願っています。そして隆とひとみさんは、お母さんを最後まで面倒みてやってください。
平成27年5月6日
住所 福岡県久留米市草野町1038番地5
遺言者 宮崎 信幸 印
農業をしている人が後継者を指定する場合に使う文例です。農業を継続させるには農地などを分散させないことが必要です。また、事業による債務も後継者に引き継いでもらうことが重要です。被相続人の債務は原則として、法定相続人が法定相続の割合で相続しますが、上記のように記載があり、債権者(農協など)が承認すれば、単独で相続させることができます。
上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。