戦場カメラマンの遺言(遺言文例 100)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金その他一切の財産を、受遺者中村真央(久留米市野中町9番地9、昭和55年5月5日生)に包括して遺贈する。真央とは、平成15年4月より同居しており、夫婦同然である。

第2条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、受遺者中村真央を指定する。
 2 遺言執行者は、相続財産に含まれる預貯金債権の名義変更、解約、払戻し等のほか、この遺言を執行する上での一切の権限を有する。
 3 遺言執行者は、必要と認めるとき第三者にその事務を委任することができる。

付言 僕は明日から1か月間、カメラマンの仕事でアフガニスタンへ行きます。アフガニスタンの紛争の現状を取材するためです。報道によると、治安がまだ安定していないようです。よって、危険な仕事になります。万が一のことを考えて、遺言書を作成しておくことにします。真央は心配して行かないでと言いますが、これは私が選んだ仕事です。戦争の悲惨さ、平和のありがたさをより多くの人に伝えるのが私の使命だと思っています。「名誉の戦死」などしませんから、安心して待っておいてください。帰ってきたら籍を入れよう。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市野中町9番地9
遺言者  佐藤 太郎 


※補足説明 関連遺言

 危険な仕事をしている人の遺言です。一方で、危険だと分かっている人は用心します。反対に、用心していない人が事故などで急に思いがけなくなるものです。よって、遺言作成が早すぎるということはありません。思い立ったらすぐにでも書いておきましょう。気持ちが変わったら、書き直せば済むことです。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。