保証人の遺言(遺言文例 95)
遺言書
第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産全部を次男鈴木次郎(昭和35年5月5日生)に相続させる。
第2条 遺言者は、不動産を除く遺言者の有する預貯金その他一切の財産を、長男鈴木一郎、次男鈴木次郎に各2分の1の割合にて相続させる。
第3条 遺言者は、遺言者の兄鈴木直人の日本政策金融公庫からの借入金600万円の連帯保証人になっている。将来、保証債務の請求があった場合は、長男鈴木一郎が2、次男鈴木次郎が3の割合にて支払うべきものとする。何故なら、今回の相続の際の遺産額の割合に準じたものである。
第4条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男鈴木一郎を指定する。
第5条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、長男鈴木一郎を指定する。
付言 子供たち二人には相談していなかったが、兄の借金の連帯保証人になっている。今のところ、契約通りに支払っているようである。将来、二人に請求が来る可能性はある。その際は、上記記載のように、次郎が一郎の5割増しで支払ってもらいたい。ただ、債権者は二人に等分して請求する権利があるので注意されたし。これまでいろいろと世話になった兄なので、断ることができなかった。二人には将来の負担を残し申し訳ないと思っている。
平成27年5月7日
住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者 鈴木 太郎 印
※補足説明
保証人という立場は、保証債務であり、相続の対象となります。本来、保証債務は法定相続分で相続することになります。また、債権者も法定相続分に応じて請求する権利があります。ただ、遺言でもって、保証債務の負担割合を指定することができますが、あくまでの相続人間の内部的取り決めです。
上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。