手術を受ける前の遺言(遺言文例 88)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産その他一切の財産を妻中村真央(昭和25年5月5日生)に相続させる。

第2条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、妻中村真央を指定する。

第3条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、妻中村真央を指定する。
 2 遺言執行者は、必要に応じて、執行事務を第三者に委任できるものとする。

付言 私は今から心臓移植手術を受けます。主治医の田中先生からは、万が一のことを覚悟していてほしいと言われています。もう移植しか助かる道はないのだから覚悟しています。万が一のことがあったとしても、田中先生ほかのみなさんには感謝するようにしてください。お世話頂いた看護師の皆さんにもお礼申し上げます。でも恐らく、元気で戻って来ます。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  中村 太郎 


※補足説明 関連遺言

 難しい手術を受ける前に書いておく遺言です。当然、本人の遺言能力があることが前提です。遺言能力に多少の不安がある場合は、公証人に出張を依頼し、公正証書遺言にすべきです。ただ、公証人が遺言能力がないと判断すれば、当然作成してくれません。病人や高齢者は、日々、時間によっても体調が良かったり悪かったりするものです。よって、行政書士などの専門家とも早めに相談し準備すべきです。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。