不動産の精算型遺言(遺言文例 86)
遺言書
第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産全部を売却し、その売却代金から売買手数料、移転登記費用、不動産譲渡所得税等を除いた残額を長女田中幸子(昭和44年4月4日生)、長男伊藤一郎(昭和45年9月9日生)、次女中村えり(昭和47年5月5日生)の3名にそれぞれ3分の1の割合にて相続させる。
第2条 不動産を除く預貯金その他一切の財産については、上記の3名に各3分の1の割合にて相続させる。なお当該預貯金から、遺言執行費用、未払医療費、葬儀費用、家財道具などの処分費用、公租公課その他の債務を優先的に控除すべきものとする。
第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男伊藤一郎を指定する。
第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として下記の者を指定する。
記
福岡県久留米市中央町100番地1
行政書士 古賀 省吾
昭和44年5月6日生
2 遺言執行者は、遺言者の有する不動産全部の売却処分の前提としての相続登記において、相続人の代理人として相続人名義への所有権移転登記の単独申請手続をし、その不動産の買主との共同申請により相続人名義から当該買主名義への所有権移転登記申請ができるものとする。
3 遺言執行者は、相続財産に含まれる預貯金債権の解約、払戻し、動産の処分等のほか、この遺言を執行する上での一切の権限を有する。
4 遺言執行者に対する報酬は、金100万円とする。
付言 不動産があると、だれが不動産を相続するかで揉めるのではないかと考えました。そこで、売却し、3等分するようにしてください。
平成27年5月7日
住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者 伊藤 二郎 印
※補足説明
相続開始後、遺産である不動産を売却し、現金化して分配する場合の遺言です。遺言執行者は、相続人の代理人なので、以上のような手続方法が可能です。ただし、多少の知識とスキルが必要なので、事前に登記の専門家である司法書士と相談してください。また、売却後の税金関係があるので、税務署や税理士と相談、確認しながら、すすめてください。
上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。