遺産分割禁止を含む遺言(遺言文例 83)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産を除く預貯金その他一切の財産を、妻田中幸子(昭和20年2月2日生)に4分の2、長女中村真央(昭和45年5月5日生)と次女宮崎静香(昭和49年6月6日生)に各4分の1の割合にてそれぞれに相続させる。

第2条 遺言者は、遺言者の有する全ての不動産について、その分割を遺言者の死亡後5年間禁止する。
 2 前項記載の5年間の不動産の賃料収入は、妻田中幸子が受け取るものとする。

第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、妻田中幸子を指定する。

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
 福岡県久留米市中央町38番地23
 行政書士  宮崎 信幸(昭和33年3月3日生)
 2 遺言執行者に対する報酬は、金50万円とする。執行報酬については、遺言者の有する預貯金から優先的に支出するものとする。

付言 私が妻幸子より先に亡くなった場合のことが心配です。娘たち二人はそれぞれ自己主張が強く、ちゃんと幸子を世話してくれるか心配です。そこで、場合によっては、幸子を老人ホームなどの施設に入れても構わないと思っています。その際、入所費用の心配をしなくてよいように、家賃収入が幸子に行くようにしました。娘たち二人は、何れはあなた達のものになる訳ですから、ゴタゴタさせないでください。また、相続税については、税理士の佐藤先生と相談してください。遺言の概略は説明しています。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  田中 太郎 


※補足説明

 遺言で、遺産分割を相続開始後5年間に限り禁止することができます。ただ、この分割禁止も協議又は調停でもって取消すことができます。相続人の協議で取消す場合は、遺言執行者の了解が必要だと考えられています。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。