胎児への遺言(遺言文例 73)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金その他一切の財産を、遺言者の妻中村真央(昭和55年5月5日生)の胎児に相続させる。

第2条 遺言者は、前条記載の胎児が死産の場合は、遺言者の有する預貯金その他一切の財産を、遺言者の妻中村真央に相続させる。

第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、妻中村真央を指定する。

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、妻中村真央を指定する。

付言 私はこの前の健康診断後の精密検査で悪性腫瘍が見つかりました。医者の説明では、余命数か月という話でした。結婚してこれまで、子供をなかなか授かることができず、真央には精神的にも肉体的にも苦労を掛けました。やっとできた子供だったのに、私がこんなことになり、とても残念で悔しいです。せめて、元気な子供で生まれて来てほしいと願っています。そして真央は、まだまだ若いので育児と仕事だけでなく、今後、素敵な人が現れたら再婚しても構わないと思っています。私のことなど気にしないで、今まで以上に幸せになってください。これまでの8年間、ありがとう。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  中村 太郎 


※補足説明

 胎児に相続させる場合に使う遺言です。胎児は、相続については「既に生まれたものとみなす」ことになっています。よって、胎児への遺言は可能ですが、死産(流産)の場合は遺言はなかったことになります。よって、予備的遺言も必要でしょう。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。