母への遺言(遺言文例 51)
遺言書
第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金その他一切の財産の2分の1を、遺言者の母石井ミツエ(昭和7年7月7日生)に相続させる。
第2条 遺言者は、前条記載の財産を除く一切の財産を遺言者の弟石井直人(昭和39年3月9日生)に包括遺贈する。
第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、前条記載の石井直人を指定する。
第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
福岡県久留米市中央町38番地23
行政書士 宮崎 信幸(昭和33年3月3日生)
2 遺言執行者に対する報酬は、金30万円とする。執行報酬については、遺言者の有する預貯金から優先的に支出するものとする。
付言 私はこれまでの不摂生が原因で、もう長くは生きられそうにありません。親より先に死ぬのは一番の親不孝だと考えていましたが、本当の親不孝になってしまいそうです。最後の償いになるかどうか分かりませんが、少しだけ貯金を残すことができそうです。これは今後の母のために使ってください。また、弟直人には今後も母を大切にしてください。私みたいに親不孝の真似はしないようにね。そして、この遺言書とは別に、「尊厳死宣言公正証書」を作成しているので、無意味な延命治療は止めてもらえたと思います。私は子供を残すことはできませんでしたが、私なりに充実した人生だったと思っています。何故なら、ほとんどのことは自分で決めてきたからです。だから、他人様には文句はありませんし、他人様のせいにすることもありませんでした。そういう訳なので、私があの世へ行っても悲しまないでください。笑って見送ってほしいです。最後に、かぁちゃん、ごめんね。今度もし、もう一度生まれてくることがあったら、かぁちゃんの子供で生まれてくるけんね。俺の分まで長生きしてね。
平成27年5月13日
住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者 石井 哲郎 印
※補足説明
子供がいない人が母に相続させる場合に使う遺言です。もし子供がいれば、「母に(包括)遺贈する」となります。書類作成や手続に不慣れな人に相続させる場合は、遺言執行者を専門家に依頼しておりた方が安心です。よって、事前に遺言執行者となってくれる行政書士などの専門家と相談されることをお勧めします。
上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。