身体障害者がいる場合の遺言2(遺言文例47)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金の中から、医療費、葬儀費用、公租公課その他の債務を支払った後の残金を、長女宮崎奈緒(昭和47年4月4日生)に相続させる。

第2条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
 福岡県久留米市西町1番地
 行政書士  田中 一郎(昭和49年9月9日生)
 2 遺言執行者は、遺言者が借用中の貸金庫の開庫、貸金庫契約の解約、預貯金債権その他の金融資産の名義変更、払戻し、解約等のほか、医療費、公租公課その他の債務の支払い、生命保険の請求手続、年金関係の各種届出に関する事務処理のための経費等を支払うこのとなど本遺言執行に必要な一切の行為をする権限を有する。
 3 遺言執行者は、必要と認めるとき第三者にその事務を委任することができる。
 4 遺言執行者に対する報酬は、金30万円とする。執行報酬については、遺言者の有する預貯金から優先的に支出するものとする。

付言 長男省吾にお願いしておきます。あなたも承知しているように、長女奈緒は心の病気を患っています。現在も病院で療養中ですが、将来も療養生活が続くのかも知れません。そこで、私の亡き後は、唯一の家族であるあなたに奈緒を守ってもらいたいと思っています。その願いを込めて遺言書を作成しました。今回の遺言では、あなたに渡すことができるものがありません。将来、奈緒が亡くなると残った預貯金はあなたに行く訳ですから、了解してください。もし今後、あなたの負担が重くなったら、成年後見人などの手続をするようにしてください。病院とも相談しながら、あなたのできる範囲で援助してやってください。

平成27年4月30日

住所 福岡県久留米市中央町38番地23
遺言者  宮崎 信幸 


※補足説明

 身体障害者等の子供がいる場合に使う文例です。障害者等と家族の状況によって遺言の内容は違ってきます。どのような内容にすれば、身体障害者等と他の相続人の負担が少なくなるか、前もって検討すべきです。よって、事前に行政書士などの専門家と相談されることをお勧めします。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。