行方不明者がいる場合の遺言3(遺言文例45)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金の中から金500万円を、長女宮崎はるか(昭和50年6月6日生)に相続させる。

第2条 遺言者は、前条記載の金500万円を除く遺言者の有する不動産その他一切の財産を、長男宮崎一郎(昭和48年8月8日生)に相続させる。

第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男宮崎一郎を指定する。

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、長男宮崎一郎を指定する。
 2 遺言執行者は、相続財産に含まれる預貯金債権の名義変更、解約、払戻し等のほか、この遺言を執行する上での一切の権限を有する。

付言 次女奈緒は女子大を勝手に中退して離婚歴のある中年男と駆け落ちのようにして家を出てから、長い間音信不通の状態で心配しています。お母さんも奈緒のことを一番心配していました。日本のどこかで元気に暮らしているものと信じています。今更、昔のことについて責めたりはしません。私が死んだ後、帰ってくるようなことがあれば、お母さんの墓参りをしてやってください。お母さんもうれしいです。その際には、一郎とはるかは奈緒を援助してやってください。

平成27年4月30日

住所 福岡県久留米市中央町38番地23
遺言者  宮崎 信幸 


※補足説明

 行方不明者がいる場合の遺言に使う文例です。音信不通、所在不明者がいると、相続開始後の遺産分割協議ができません。遺言書を残しておくことは、相続人の苦労を少なくします。一方、行方不明者にはそれなりの事情があるはずです。できれば家に帰りたいという希望を持っている人も多いことでしょう。そこで、付言の中に温かい言葉を入れておくことも必要でしょう。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。