行方不明者がいる場合の遺言(遺言文例43)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産その他一切の財産を、次男宮崎次郎に相続させる。

第2条 長男宮崎一郎の相続分はないものとする。長男宮崎一郎には、当人の銀行や消費者金融会社、クレジット会社からの借金を、遺言者が1,000万円以上立替払いをしており、当人の遺留分相当額以上になるからである。

第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、次男宮崎次郎を指定する。

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次男宮崎次郎を指定する。
 2 遺言執行者は、相続財産に含まれる預貯金債権の名義変更、解約、払戻し等のほか、この遺言を執行する上での一切の権限を有する。

付言 長男一郎にはこれまで金銭面で甘やかしてきました。その結果、家に居づらくなり長い間行方不明の状態です。当人も私が生きている間は帰ってこないものと覚悟しています。お母さんは一郎のことを一番心配していますが、仕方ありません。もし私が遺言を残さずに死ぬと、後取りの次郎が困ることになるのではと考え、以上のような内容にしました。私の死後、一郎が帰ってきたとしても、昔の親不孝を忘れて遺留分の請求などをすることは許しません。少しでも申し訳なかったと思っているのなら、お母さんに孝行しなさい。

平成27年5月13日

住所 福岡県久留米市中央町38番地23
遺言者  宮崎 信幸 


※補足説明 関連遺言

 行方不明者がいる場合の遺言に使う文例です。音信不通、所在不明者がいると、相続開始後の遺産分割協議ができません。遺言書を残しておくことは、相続人の苦労を少なくします。一方、行方不明者にはそれぞれの原因や事情があるはずです。遺留分の請求ができないように、具体的な数字を入れておくことも大切です。できれば領収書の控えを残しておきましょう。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。