介護予定者に遺贈する遺言(遺言文例 78)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産その他一切の財産を中村真央(福岡県久留米市中央町3番地3、昭和45年5月5日生)に包括して遺贈する。

第2条 遺言者は、遺言者の死亡以前に第1条記載の中村真央が死亡した場合は、遺言者の有する不動産その他一切の財産を中村静香(久留米市中央町3番地3、平成2年4月6日生)に包括して遺贈する。

第3条 第1条記載の中村真央と第2条記載の中村静香はそれぞれ、遺贈の負担として、遺言者の生存中、遺言者の介護をし、食事その他の生活の世話をするものとする。

第4条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、第1条の場合には中村真央を、第2条の場合には中村静香をそれぞれに指定する。

第5条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
     記
 福岡県久留米市中央町38番地23
 行政書士  宮崎 信幸(昭和33年3月3日生)
 2 遺言執行者は、遺言者名義の預貯金債権の名義変更、払戻しその他、この遺言を執行する上での一切の権限を有する。
 3 遺言執行者に対する報酬は、金30万円とする。執行報酬については、遺言者の有する預貯金から優先的に支出するものとする。

付言 私に子供はいません。教職を38年間し、退職金でこの家を買いました。兄弟や甥姪はほとんどが四国に住んでいます。よって、めったに会うこともありません。遠くの親戚より近くの他人とはよく言ったものです。真央さんとはスーパーで買い物をしているときに知り合いました。娘の静香ちゃんをひとりで育てたそうです。二人とも精一杯生きており、何か応援したくなりました。私が歳を取ると二人に負担を掛けることが多くなるかも知れませんが、よろしくお願いします。また、任意後見契約で代理人も頼む予定になっています。宮崎先生と共に、最後までよろしくお願いします。私の死後、万が一、兄弟姉妹等から文句が出た場合は、遺言執行者の宮崎先生から説明をしてくださるよう頼んでおきます。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  佐藤 美穂 


※補足説明 関連遺言 関連遺言

 負担付遺贈で介護を第三者に頼む場合に使う遺言です。どのような内容にすれば、スムーズに頼むことができるか、前もって検討すべきです。よって、事前に介護を引き受けてくれる予定の人や行政書士などと相談されることをお勧めします。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。