インターネット活用者の遺言(遺言文例 65)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有するインターネットに関する一切の権利(全てのホームページ、プロバイダー契約、ドメイン契約、レンタルサーバー契約その他、ネット接続用のパソコンとパソコン用ソフトを含む)を行政書士の同業者である次の者に包括して遺贈する。
 久留米市中央町1番地1、田中一郎(昭和40年4月4日生)

第2条 遺言者は、前条記載の権利を除く預貯金(ネット銀行を含む)その他一切の財産を平成20年3月より同居している中村幸子(昭和44年4月9日生)に包括して遺贈する。

第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、前条記載の中村幸子を指定する。

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、第1条については、同条記載の田中一郎を、第2条については、同条記載の中村幸子をそれぞれに指定する。
 2 遺言執行者は、それぞれの遺言内容を実現するための一切の権限を有するものとする。

付言 私がこれまで何とか生きてこれたのはインターネットのお蔭だと思っています。そこで、これまでに築いたネットの実績はネットの分かる人に引き継いでもらいたいと考えました。田中一郎さんには継続してネットからの情報発信をお願いします。アドレスやID番号などの一覧は別紙にまとめて記載しています。また、ネット銀行を含む預貯金は幸子に渡すことにします。私のような人間と付き合ってくれてありがとう。今後の生活の足しにでもなればと思っています。私のことなど忘れて、新しい素敵な人を見つけてください。

平成27年5月6日

住所 福岡県久留米市中央町9番地1
遺言者  佐藤 太郎 


※補足説明

 インターネットを使って商売をしている人向けの遺言です。ネットに関する情報は本人しか知らない場合が多いので、別紙のメモなどにパスワード等の情報を記載しておく必要があります。また、ネット銀行やネット証券についても同様です。ただし、事前に情報が漏れないような対策も必要です。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。