条件付の遺言(遺言文例 60)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産全部を次男鈴木次郎(昭和35年5月5日生)に相続させる。但し、遺言者が死亡した時点で次男鈴木次郎が婚姻していることを条件とする。また、不動産を相続した際は、遺言者の妻鈴木幸子(昭和10年1月1日生)を生涯、当該不動産に無償で住まわせるものとする。
 2 第1項記載の条件が成就していないときは、第1条記載の不動産全部は、妻鈴木幸子に相続させる。
 3 遺言者より先に妻鈴木幸子が死亡した場合で、第1条記載の条件が成就していないときは、第1条記載の不動産全部は、長男鈴木一郎(昭和34年2月2日生)に相続させる。

第2条 遺言者は、不動産を除く遺言者の有する預貯金その他一切の財産を、妻鈴木幸子、長男鈴木一郎、次男鈴木次郎に各3分の1の割合にて相続させる。

第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男鈴木一郎を指定する。

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
 福岡県久留米市中央町38番地23
 行政書士  宮崎 信幸(昭和33年3月3日生)
 2 遺言執行者に対する報酬は、金50万円とする。執行報酬については、遺言者の有する預貯金から優先的に支出するものとする。

付言 私の気掛かりは、妻幸子のことと次男次郎のことです。幸子には経済的に苦労することなく、今の家で長生きしてほしいと願っています。また次郎には、もう30を過ぎているのにいつまでも独り身では社会的信用もなくなるので心配しています。市役所に勤めているので、高望みさえしなければ何とかなるだろうと信じています。できれば早くお母さんを安心させてやってください。そういった願いを込めてこの遺言を作成しました。長男の一郎は医師をしているのであまり心配していません。ただ、油断だけはしないようにと、酒はほどほどにするようにしてください。3人が幸せに長生きしてくれることを心より願っています。

平成27年5月6日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  鈴木 太郎 


※補足説明

 条件を付けて相続させる場合に使う遺言です。条件があいまいだと反対に混乱することになります。条件の内容は明確にして、期限もはっきりさせることが大切です。どのような内容にすれば、スムーズに相続させることができるか、前もって検討すべきです。よって、事前に行政書士などの専門家と相談されることをお勧めします。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。