遺贈と付言を入れた遺言(遺言文例38)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金の中からそれぞれ金500万円宛を、長女中村真央(昭和45年5月5日生)、次女山口静香(昭和49年6月6日生)の2名に相続させる。

第2条 遺言者は、遺言者の有する預貯金の中から金300万円宛を、長男田中一郎の妻田中祐子(昭和45年5月9日生)に遺贈する。

第3条 遺言者は、前2条記載の金1,300万円を除く遺言者の有する不動産その他一切の財産を、長男田中一郎(昭和44年1月5日生)に相続させる。

第4条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男田中一郎を指定する。

第5条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
 福岡県久留米市中央町38番地23
 行政書士  宮崎 信幸(昭和33年3月3日生)
 2 遺言執行者に対する報酬は、金30万円とする。執行報酬については、遺言者の有する預貯金から優先的に支出するものとする。

付言 以上のような遺言の内容にした理由を少し説明します。私は夫(あなた達の父親)が亡くなった後、一郎の家族と同居することになりました。私が元気な頃は、一郎や祐子さんにわがままを言ったことも度々ありました。その後、私が体調を悪くした際には、特に祐子さんにはお世話になりました。遠くに住んでいた娘たちには祐子さんの悪口ばかり言っていたかも知れませんが、心の中ではいつも感謝していました。ありがとう、ごめんなさい。ただ、それを口に出して伝えるのはとても勇気がいるものです。そこで、その気持ちを遺言書で伝えることにしました。二人の娘たちにやれる分が少ないかも知れませんが、私の気持ちを理解して、みんな仲よく暮らすよう希望します。また、遺産相続手続きがスムーズに行くように、遺言執行を行政書士の先生に頼みました。事情も説明していますので、信頼して任せるようにしてください。

平成27年4月30日

住所 福岡県久留米市小頭町1番地10
遺言者  田中 ミツエ 


※補足説明 関連遺言

 遺産分割方法、祭祀主宰者、遺言執行者を指定し、付言を入れた文例です。付言の内容には法的効力はありませんが、相続人等に遺言者の思いを伝えることができます。付言の内容も行政書士などの専門家にまとめてもらった方がよいでしょう。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。